2022年05月26日
北大、全個体電池材料の真の姿をX線レーザーで観察
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:北海道大学

北海道大学電子科学研究所の西野吉則教授らの研究グループは26日、高輝度光科学研究センターなどと共同で、電気自動車に向けて開発が進められている全固体電池用の硫化物系固体電解質を、X線自由電子レーザー(XFEL)施設SACLAを用いて無損傷かつナノスケールで観察することに成功したと発表した。

高性能な固体電解質材料の開発にはナノスケールでの構造解析が不可欠だが、一般的な電子顕微鏡やX線顕微鏡では、電子やX線を照射することで構造が変化してしまう課題があった。今回、独自開発の液体試料セルに有機溶媒ごと試料を閉じ込めることで潮解を防ぎ、さらにフェムト秒という極めて短い発光時間のXFELを用いることで、試料のありのままの姿を捉えた。

加えて、乳がんの画像診断法であるマンモグラフィの手法を開発し,固体電解質粒子の「アモルファスの海」の中の“ナノ結晶の島”を浮き彫りにした。従来手法では困難だったこの「海島構造」の真の姿の解明は,電池性能の鍵を握るリチウムイオン伝導度の向上に繋がると期待できる。

同研究成果は5月26日付「Nano Letters」誌に掲載された。Supplementary journal coverにも選出された。


ニュースリリース
https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/220526_pr.pdf