2022年05月27日
東レ、従来比100倍と即効性抗ウイルス粒子を開発
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東レは26日、即効性に優れる世界最高レベルの抗ウイルス粒子を開発したと発表した。
従来からウイルス感染対策として用いられてきた消毒液の場合、短時間で揮発するため定期的な消毒が必要だった。揮発しない金属系の抗ウイルス剤の場合は、持続性はあってもウイルスを99.9%不活化するのに1時間以上かかるものが多く、即効性と持続性の両立には課題があった。

同社は今回、酸化セリウム粒子の表面にウイルスにを吸着させ、ウイルスを酸化分解する抗ウイルス粒子を独自技術で開発した。ウイルスを15秒で99.9%以上、5分で99.99%以上不活化できる。ウイルス不活化速度は、従来の金属系抗ウイルス剤と比較して約100倍以上と、世界最高レベルの即効性を実現した。

また、同粒子は揮発せず、薬剤や金属イオンなど有効成分の徐放によるウイルス不活化原理と異なるため、効果の持続性が期待できる。危険有害性が低く、耐変色性や耐腐食性に優れていことも確認済みだ。
 
同粒子は、建築材料や塗料、包装材料などへの適用が可能なため、不特定多数の人が集まりウイルス感染対策が必要な公共スペース、交通機関、飲食店、医療・介護施設、学校などの内壁や手すり、身近で多く接触機会のある家電や食品包装など、多方面にわたる展開が期待できる。

また、コーティング加工や練り込み加工にも対応可能なため、今後はマスクや医療用ガウン、エアフィルター、カーシートなど、抗ウイルス性能が期待される製品に広く適用していく方針だ。
 
同成果の一部は、NEDO委託業務「マテリアル・バイオ革新技術先導研究プログラム」のもと、麻布大学獣医学部の田原口智士教授らとの共同研究によって得られた。

ニュースリリース
https://www.toray.co.jp/news/details/20220524102454.html