2022年06月01日
富士フ、米国で進行性固形がん治療剤 開発進む
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:富士フイルム

 富士フイルムは1日、米国で開発中のリポソーム製剤「FF-10832」とMerck社の抗PD-1抗体「キイトルーダ」の併用療法を評価する臨床第2相試験を開始したと発表した。試験は進行性固形がんを対象に行った。

 リポソーム製剤は、細胞膜や生体膜の構成成分である有機物のリン脂質などをカプセル状にした微粒子(リポソーム)の中に薬剤を内包した製剤で、有効成分が患部に効率的に送達され、長時間滞留することで、薬効を高めると期待されている。

 同社はこれまで、高度なナノ分散技術や解析技術、プロセス技術を生かして、リポソーム製剤の研究開発を進めてきた。複数の固形がんを適応症とする抗がん剤「ゲムシタビン」を内包したリポソーム製剤「FF-10832」では、マウス実験により、免疫チェックポイント阻害剤との併用投与により、がん細胞などを殺傷するCD8陽性キラーT細胞が、がん組織内で増加し、それぞれの単剤投与よりも生存期間が大幅に延びることを確認している。

 今回、同社は、「FF-10832」と「キイトルーダ」との併用療法による臨床効果を確認するため、免疫チェックポイント阻害剤の投与を含む標準療法後に増悪した、進行性固形がん患者を対象に、臨床第2a相試験を米国で開始した。主に非小細胞肺がんおよび尿路上皮がんの患者に対して安全性や忍容性、初期の有効性を確認する。
 症例数として、「FF-10832」と「キイトルーダ」の併用投与群、「FF-10832」の単剤投与群をあわせて100例程度を予定している。