2022年06月06日
北大、ユーラシアにおけるハツカネズミの多様性解明
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:北海道大学

 北海道大学 情報科学研究院の長田直樹准教授らの研究グループはこのほど、ユーラシア大陸の幅広い地域から集められた野生ハツカネズミの全ゲノム配列を決定し、その遺伝的多様性を明らかにしたと発表した。

 ハツカネズミは医学研究に多く用いられる実験動物。南アジア周辺に生息していた野生の集団が起源となっており、主要な三つの亜種が存在すると考えられている。野生のハツカネズミはその後、人類とともに生息域を広げ、特に1万年ほど前から始まる農耕の発展以降、爆発的に世界中に拡散した。

 今回研究には、ハツカネズミの研究で知られる森脇和郎博士が長年収集してきたサンプルを含む、野生ハツカネズミ98個体の全ゲノム配列を決定し、ユーラシア大陸においてどのように三つの亜種が分布しているのか、また、過去にどのような集団動態を経て野生ハツカネズミ集団が成立してきたのかを明らかにした。
 
 同研究は、農耕の発展以降、人類がどのようにユーラシア大陸を移動したのかという疑問に答えるのに役立つだけでなく、医学研究に用いられる実験動物がどのような遺伝的変異をもっているか明らかにすることで、実験結果の解釈や再現性に貢献することが期待される。

 同研究成果は5月7日付「Genome Biology and Evolution」誌にオンライン掲載された。

ニュースリリース
https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/220601_pr.pdf