2022年06月06日
富士フ、皮ふへの浸透性向上 単層リポソーム2種開発
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:富士フイルム

 富士フイルムは6日、医薬品の研究実績を生かして、水溶性成分の浸透性を高精度に制御し、表皮・真皮での浸透性を高める独自設計の単層リポソーム 2 種( 表皮用・真皮用 )を開発したと発表した。これまで課題だった水溶性成分の皮膚への浸透性向上を実現したことで、より多様な成分を皮膚への浸透を可能にした。

 リポソームは、細胞膜の構成成分であるリン脂質をナノサイズのカプセル状にした微粒子で、薬剤を患部に必要なタイミングで届ける「ドラッグ・デリバリー・システム技術」の一つとして応用される。
 
 油溶性成分の場合は、油溶性成分で構成される角層との親和性が高い反面、水に溶けにくいため、独自技術でナノサイズに微細化することで、化粧水や美容液などへの配合を容易し、皮膚への浸透性向上を研究してきた。

 一方、水溶性成分は、そのまま化粧水などへ配合できるが、角層との親和性が低くいため十分に皮膚へ浸透させることが難しいという課題があった。このため油溶性のリン脂質で構成され、角層との親和性が高いリポソームの性質を活用し、水溶性成分のさらなる浸透性向上をはかった。

 今回のリポソーム化により、人工皮膚モデル膜および透過液への水溶性成分の移行量が増加した。非リポソームと比べて、表皮用リポソームでは人工皮膚モデル膜中で約3倍、真皮用リポソームでは透過液中で約 5倍の量の水溶性成分が検出された。今後、これらの研究成果を化粧品開発に生かしていく方針だ。

ニュースリリース
https://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1654478028.pdf