2022年06月14日
東北大、「超巨大地震に共通する余震活動」解明
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 「2011年東北地方太平洋沖地震(マグニチュードM9.0)から約10年。震源地中心部の地震活動は沈静化したが、周辺域では活発な状態が続いているー」とする研究結果を13日、東北大学災害科学国際研究所(遠田晋次教授)が発表した。

 この現象は、1960年チリ地震(M9.5)、1964年アラスカ地震(M9.2)、2004年スマトラ沖地震(M9.2)の余震活動とも類似している。震源域中心部は数年以内に終わり、逆に縁辺域では数十年にわたって高い活動を保持する。これは、超巨大地震にみられる共通の特徴とみられる。

 このような超巨大地震の余震の時空間パターンは、本震による周辺地殻・断層への応力伝播モデルで説明できる。スケールダウンするとM8、 M7地震にも当てはまり「地震の空白域」を評価する上で重要となる。

 同研究所は、2011年東北沖地震から10年後の2021年、福島県沖・宮城県沖で大地震が続発したことについて、その原因を探るために、東北沖地震の余震活動の広がりと、地域毎の減衰傾向を、本震前約13年間と比較して「地震活動度変化」としてマッピングした。
 
 その結果、最近5年間の活動は、震源断層の中心部(大きくズレ動いた部分)で本震前よりも顕著に低く、それを取り巻くように青森東方沖~房総半島沖で高い状態が続いていることがわかった。
 
 データの質・量ともに落ちるものの、同様の傾向は他の超巨大地震でも認められる。このような時空間パターンは本震による応力伝播モデルで再現でき、中心部の静穏化は百年以上、周辺域の活発化は数十年以上続く。地震活動がきわめて低調なプレート境界地域といえども、先史時代の超巨大地震の名残による静穏化である可能性がある。なお、これについては「短期間の歴史記録のみだけでは必ずしも超巨大地震が起きない安全な地域とはいえない」としている。
同研究成果は6月11日、「 Nature Geoscience 」誌に掲載された。

ニュースリリース
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press20220613_04web_earthquake.pdf