2022年06月16日
九大、エネルギーの社会公平性/国際比較の骨格作成
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:九州大学

 九州大学カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所の中石知晃研究員らのグループは15日、各国のエネルギーに関連する社会公平性を定量評価するための分析フレームワークを開発し、社会公平性の分布やその経年変化について国レベルで明らかにしたと発表した。

 近年、再生可能エネルギー(再エネ)の普及が国際的に加速するなか、社会公平性の向上を伴ったエネルギー転換(Just transition)の重要性が増している。
 
 研究グループは、この社会公平性の定量化を図るため、数理最適化モデルを応用した5つの社会指標の統合化フレームワークを開発し、世界99カ国(26年間)のエネルギーに関連する社会公平性レベルを、0(最低値)から1(最高値)の基準化されたスコアで国ごとに相対評価した。

 各国のエネルギーに関連する社会公平性は、1990~2015年の間で平均的に約0.09ポイント進歩した。
 特に顕著な上昇が見られたのは、中国(+0.71)やインドネシア(+0.54)などのアジア諸国だった。
 一方、日本や欧州などの先進国では、社会公平性の低下も確認された。2015年に最も社会公平性が高かった国はアイスランド(1.00)、最も低かった国はコンゴ民主共和国(0.18)だった。

 日本の社会公平性スコア(2015年)は0.90で、99カ国中42位だった。
 日本や欧州などで見られる社会公平性の低下は、主に環境や健康に関する社会指標の低下に由来するが、これらの指標は、再エネの普及により大幅に改善することができる。つまり、再エネの利用促進は、社会公平性の観点から見ても重要であると結論付けられる。
 本研究成果は、6月7日に「Socio-Economic Planning Sciences」誌に公開された。

ニュースリリース参照
https://www.kyushu-u.ac.jp/f/48408/22_0615_03.pdf