2022年06月17日
北大、卵を産む哺乳類の苦味感覚を解明
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:北海道大学

 北海道大学大学院の早川卓志助教(地球環境科学研究院)らの国際共同研究グループはこのほど、卵を産む哺乳類(単孔類)のカモノハシとハリモグラが持つ苦味センサータンパク質(苦味受容体)の機能を網羅的に分析したと発表した。
 
 これにより水中の多様な生物を食べるカモノハシは、幅広い種類の苦味物質を検知できる万能型苦味受容体を持つが、アリ・シロアリ食に特化したハリモグラは、カモノハシのような万能型受容体を持たず、検出できる苦味物質が少ないことが分かった。
 
 ハリモグラがアリやシロアリを専門に食べるようになったことで苦味の重要性が下がり、限られたものにしか苦味を感じなくなった一方で、水中で様々な生物を摂食するカモノハシは苦味受容体を使って食べられるものの選択を行っている可能性を示している。

 さらにカモノハシやハリモグラでも、植物などに含まれる有毒な配糖体を検知する苦味受容体は残されており、この苦味受容体の機能はヒトを含む全ての哺乳類グループで共通のものであることも分かった。
 
 ヒトやその他の哺乳類がカモノハシ・ハリモグラと分かれたのは約2億年前まで遡る。大型恐竜が繁栄し、花を咲かす被子植物の多様化が始まろうとしていた時代で、恐竜と競合しながら、植物や昆虫などの毒を含みうる食べ物を口にして進化した哺乳類にとって、苦味感覚の進化が非常に重要であったことを本研究は意味している。
なお、同研究成果は6月1日付の「Molecular Biology and Evolution」誌に掲載された。

ニュースリリース
https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/220610_pr2.pdf