2022年06月20日
AGC、独自のMIデータベース・分析ツール確立
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:AGC

 AGCは20日、独自のMIデータベース「AGC R&D Data Input & Storage (ARDIS)」、およびマテリアルズ・インフォマティクス専用分析ツール「AGC Materials Informatics Basis Analysis Tool (AMIBA)」を開発したため、試験導入を経て、今月から同社R&D部門で利用開始すると発表した。

 素材開発はふつう、研究者の知識と経験を基に実験を繰り返して行うが、開発に10年以上を要することもある。近年は、計算科学や情報科学を用いて、大幅に開発を効率化するマテリアルズ・インフォマティクス(MI)が注目されているが、これも実験データの保管形式が統一されていないなどの課題があった。

 AGCはこのほど、統合化された実験データ保管プラットフォームをMI活用の重要な基盤ととらえ、研究開発向けに電子実験ノートの機能を併せ持つMIデータベースシステム「ARDIS」を独自開発した。毎日の実験計画や結果をARDISに繰り返し記録することで、MIに活用可能なデータが自動的に蓄積される仕組み。ARDISを使用することで研究開発データの品質が向上し、研究者同士間でのデータの共有化が進み、データに基づいた効率的な研究開発が可能となる。

 また今回、蓄積された実験データの迅速な活用を目的として、独自のMI分析ツールAMIBAも開発した。これにより、データ入力から分析までを一貫して実行できる開発環境を研究者に提供した。今後はあらゆる開発ステージで現象の理解や特性予測が進み、研究開発の効率化が加速する。

 試験導入は2020年に開始し、これまでにスマートフォンなどに用いられる化学強化ガラスや自動車用ガラスの開発など、さまざまな製品に技術が生かされてきた。今後は燃料電池用ポリマーの分子構造設計にも本システムを活用するなど、MIによる新規素材開発をさらに加速させていく方針だ。

ニュースリリース
https://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1655697870.pdf