2022年07月29日
東北大、歯科用チタンインプラントに感染予防効果
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:東北大学

 歯科用インプラント治療では、歯周炎と類似した細菌感染による骨吸収を生じることがあり、臨床的な課題となっている。これまで、体内の免疫細胞を活性化して、インプラント周囲への細菌感染を予防する技術はなかった。

 東北大学大学院 歯学研究科の江草宏教授らの研究グループは28日、歯根表面に存在する歯周組織の一部であるセメント質の物理的性質を模倣したチタン表面を開発したと発表した。さらに、その生体模倣チタンインプラントの表面に存在するナノ突起が、細胞接着分子の発現増加や接触刺激を加えることで、マクロファージの食作用を活性化することも明らかにした。
 
 本研究成果により、生体の免疫細胞を活性化することでインプラント周囲炎を予防する歯科用インプラント材料の開発が期待できる。

本研究成果は7月18日に米科学誌「Scientific Reports」オンライン版に掲載された。

<用語の解説>
◆マクロファージ :単球とよばれる白血球の一種を由来とする免疫細胞の一つ。体内に侵入した病原体などの異物を捕食・消化して排除するとともに、それら異物の抗原をリンパ球に提示し、抗体産生を担う獲得免疫へと繋げるなど、自然免疫で重要な役割を担う。

ニュースリリース
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press20220728_01web_titanium.pdf