2022年08月03日
国環研・北大など「日本の永久凍土 将来消失も」
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:北海道大学

「日本の永久凍土は将来消失する可能性がある」とする研究結果を2日、国立環境研究所、北海道大学、海洋研究開発機構の研究チームがまどめ、発表した。

 地中の温度が2年以上連続して 0℃を下回る領域は「永久凍土」と呼ばれるが、現在の日本ではその存在は非常に珍しく、北海道大雪山・富士山・立山など、ごく限られた地点でしか永久凍土は確認されていない。

 研究チームは 1930年頃から現在までの気候情報を用いて、日本の中で永久凍土が存在しうる場所の推定した。その結果、現在の日本では、大雪山・富士山・立山のほか、北海道の日高山脈・知床岳・斜里岳・阿寒岳・羊蹄山と、北アルプス・南アルプスに永久凍土が存在する可能性のある場所があることが分かった。

 さらに、将来の気候予測情報を利用して、永久凍土を維持できる領域がどのように変化するかを予測した。その結果、大雪山や富士山のように、緯度や標高が高い地域には永久凍土を維持しやすい環境がわずかに残るものの、日本全域で永久凍土を維持する環境が急激に減少することが予測された。

 今回の研究成果は、多様な生態系を維持する山岳環境の大きな変化が将来的に避けられないことを示した。今後さらに山岳環境を監視し、気候変動に対するさまざまな適応策を検討していくことが重要となる。
本研究の成果は8月 1日に「 Progress in Earth and Planetary Science 」にオンライン掲載された。

ニュースリリース
https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/220802_pr2.pdf