2022年08月23日
北大、世界初・海洋堆積物中の有機ガス成分観測
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:北海道大学

 北海道大学水産科学研究院の大木淳之准教授らの研究グループはこのほど、北海道噴火湾と北部ベーリング海で有機ヨウ素ガス種の時空間的な分布を調査した。同学部付属の練習船を使い、世界で初めて、海洋堆積物中の有機ガス成分の時系列観測を実施した。
 
 その結果、噴火湾では植物プランクトンの大増殖が起こる春以降、海洋堆積物の表面で有機ヨウ素ガスの一種ヨウ化エチル(C2H5I)の濃度が増えることがわかった。北部ベーリング海やチャクチ海南部の陸棚域でも堆積物表面でこれらが高濃度で観測された。
 
 このことから、海や大気では常にマイナー成分のヨウ化エチルが、海洋堆積物では一気にメジャー成分に躍り出ることがわかった。これは海洋表層で生産された植物プランクトンが海底面に沈殿してから、植物細胞が死滅するときにヨウ化エチルが発生すると考えられる。同研究の成果により、物質循環の挙動が複雑で謎の多い海のヨウ素循環の解明に一歩近づくことが期待される。
なお、同研究成果は8月12日の「Communications Earth & Environment」にオンライン掲載された。

ニュースリリース
https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/220819_pr2.pdf