2022年08月25日
北大、高分子と小分子の境界分子長構造を解析
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:北海道大学

 北海道大学工学研究院の猪熊泰英准教授らの研究グループは25日、単分散ポリケトンを用いて小分子化合物と高分子化合物の境界にあたる分子長を結晶構造の面から決定することに成功したと発表した。

 一般に高分子化合物は、同じ繰り返し単位を持ちながらも長さの異なる有機化合物の集合体として生産・利用されている。一方、同じ有機物でも、分子量が小さい小分子化合物は長さや分子量が決まった純粋な化合物として、薬剤など全く違った用途に使われることが多い。一つの小分子を繰り返し単位として数多く連結すれば高分子化合物が得られるが、高分子と小分子の明確な境界が何個小分子を連結した所で現れるのかは多くの高分子化合物の場合明確でなかった。

 今回、猪熊准教授らはアセチルアセトン誘導体を繰り返し単位に持つポリケトン化合物を用いて、結晶構造の観点から高分子と小分子の境界にあたる長さ(臨界長)を決定することに成功した。
 
 猪熊准教授らは、精密な有機合成法を用いて繰り返し単位が2~20個までの異なる長さを持つポリケトンを純粋な化合物として作り出し、それぞれの結晶構造を解析した。そして、繰り返し単位5個という非常に短い領域から長さに依存しない螺旋型の結晶構造が現れることを突き止めた。繰り返し単位が5つから高分子的結晶構造が現れることを解明した。
同研究成果は7月21日公開の「Chemical Science」誌にオンライン掲載された。

ニュースリリース参照
https://www.hokudai.ac.jp/news/2022/08/post-1094.html