2022年08月29日
東北大、画像下治療用の新規放射線防護具を開発
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:東北大学

 X線透視像などを用いたIVR等に携わる放射線従事者には、放射線白内障などの障害が発生リスクがあるが、東北大学放射線検査学(医学系研究科)の江口洋一非常勤講師らの研究グループはこのほど、IVR術者用の新しいユニークな放射線防護具の開発に成功した。

 新しい放射線防護具は、フェイスシールドと甲状腺プロテクタを一体化させた構造の、従来にない発想にもとづく鉛防護具で、鉛防護眼鏡を使わなくても水晶体を含めてIVR術者の頭頚部の被ばく防護が可能だ。

 この放射線防護具の遮蔽能力を、人体ファントム実験で確かめたところ、眼の水晶体線量の平均遮蔽率は、左眼で87.5%、右眼で83.6%であり、鉛防護眼鏡よりも高い遮蔽効果が期待できることが分かった。
同研究成果は22年7月29日に国際科学誌電子ジャーナル「Bioengineering」誌に掲載された。

<用語の解説>
◆IVR(Interventional Radiology):X 線透視撮影下で、体内に細い管(カテーテル)を入れて病気を治す治療法。外科的手術を必要としないため、身体にあたえる負担が少ないなど優れた特長を持っており、ガンの治療や、心筋梗塞・狭心症(経皮的冠動脈形成術、PCI)等々に広く応用されている。

ニュースリリース
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press20220825_02web_ivr.pdf