2022年09月01日
九大、水蒸気噴火発生のカギ「地下水の動き」に
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:九州大学

 水蒸気噴火はマグマが直接関与せず、熱水により引き起こされるが、噴火といってもその規模は小さく、火山浅部の熱水によって生じるため、発生予測は難しいと考えられてきた。だが、小規模な水蒸気噴火でも、火口周辺に多くの登山者がいれば、御嶽山噴火(2014年)のように多くの被害者が出る。水蒸気噴火予測は社会的にも重要な課題となっている。

 九州大学大学院地震火山観測研究センターの松島健教授をはじめとする東京大学、鹿児島大学などの研究グループはこのほど、2018年4月19日に小規模な水蒸気噴火を起こした霧島硫黄山の地盤変動データの解析から、水蒸気噴火は地下からの熱水上昇に対して地表付近の地下水が特異な動きをしたときのみ発生することを世界で初めて明らかにした。

 噴火時と非噴火(噴火未遂)時では地下水の動きが異なるため、地下水が水蒸気噴火の発生を制御していることも提案した。

 今回の発見では、熱水上昇はあるものの地下水の影響で噴火に至らなかった「噴火未遂」イベントが数多く存在することが明らかになった。今後の火山監視体制について再考が求められるとしている。また今回の観測手法や解析手法は、水蒸気噴火発生の数分前の直前予測に役立つと期待されている。
 本研究成果は22年8月22日、英国の雑誌「Communications Earth and Environment」に掲載された。

ニュースリリース
https://www.kyushu-u.ac.jp/f/49320/22_0829_01.pdf