2022年09月05日
九大、石油中の硫黄化合物を紫外線で分解除去
【カテゴリー】:行政/団体
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 九州大学大学院の徳永信教授(理学研究院)らとトヨタ自動車の研究グループは、石油中の難脱硫物質であるベンゾチオフェン類やジベンゾチオフェン類を炭化水素に溶かした状態で紫外線を照射すると、酸化反応に続いて電子環状反応などが連続的に起こり、2~16時間で完全に分解することを見出したと発表した。
 また、分解した後に硫黄は硫黄単体として沈殿することを、各種の分析手法で明らかにした。沈殿した固体はろ過して取り除ける。

 石油に含まれる硫黄化合物は環境汚染やエネルギー効率低下の原因になるが、今回、紫外線を当てるだけで硫黄化合物が分解し、粉末状の硫黄単体として析出する方法を開発した。

 これにより、大規模な設備や耐圧容器が必要なく、簡便な設備で硫黄分の除去が可能となった。水素化脱硫では、硫黄分が硫化水素という有毒ガスの形で排出されるため、その処理も安全に行う設備が必要だが、今回開発した手法は、硫黄単体という無毒で不溶性の固体に変換されるため、さらなるコスト低減や、安全性の確保が容易といった利点がある。また、従来の水素化脱硫は場所が製油所などに限定されていたが、今回の手法は、ガソリンスタンドや自家用車の中などオンサイトで実施できる。途上国などでの環境・エネルギー対策への貢献も期待できる。


 研究の詳細は8月5日「Journal of Cleaner Production 」の電子版に掲載された。
 研究には文部科学省ナノテクノロジープラットフォームの助成を得た。

ニュースリリース参照
https://www.kyushu-u.ac.jp/f/49391/22_0829_03.pdf