2022年09月08日
東北大、「恐怖記憶細胞」の遺伝子発現 解析
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:東北大学

 脳内免疫細胞のミクログリアは、炎症性・抗炎性サイトカイン注6の放出を行うことで、脳内の免疫機能・恒常性を維持している。その一方で、ミクログリアから放出される炎症性サイトカインは、恐怖記憶の形成および持続にも関与することが報告されている。
 
 東北大学大学院 医学系研究科の富田博秋教授らのグループは7日、マウスモデルを用いて、ミクログリアを対象とした遺伝子発現変動を網羅的に解析した結果、神経伝達関連分子および免疫関連遺伝子が顕著に変化していることを明らかにしたと発表した。遺伝子発現がミクログリアで変動することを突き止めた。
 
 ミクログリアの細胞膜には神経伝達物質の受容体が発現しており、ミクログリアと神経細胞の間には信号のやり取りがあると考えられる。本研究によって、ミクログリアと神経細胞が連動し、ミクログリアの免疫応答の調節が変化することで、恐怖記憶が制御される可能性が示唆された。
 
 今後、心的外傷後ストレス障害(PTSD)等の恐怖記憶に関わる精神疾患の病態の理解や診療技術の向上への寄与が期待される。研究は東京農業大学、神戸大学、東京大学などと共同でおこなった。
 研究成果は22年8月18日付の「Brain Research Bulletin」誌に掲載された。