2022年09月08日
鳥取大、ペプチド融合タンパク質 構造体構築に成功
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:科学技術振興機構

 鳥取大学 工学部の松浦和則教授らの研究グループは8日、奈良先端科学技術大学院大学および北海道大学との共同研究により、独自に開発したペプチド融合タンパク質を用いることで、細胞骨格の一種であるタンパク質ナノチューブ「微小管」からなる多様な超構造体を人工的に構築することに世界で初めて成功したと発表した。
 
 微小管は一般的には一巻きからなるシングレット型の構造を取るが、天然では繊毛や鞭毛中に見られるダブレット型構造や枝分かれした分岐構造など、様々な超構造体を形成している。しかし、これらの超構造体を人工的に構築することは困難だった。

 研究グループは今回、以前に開発した微小管内部に結合する Tau 由来ペプチド(TP)を、四量体蛍光タンパク質 Azami-Green(AG)に連結することで、微小管内部への結合による微小管の極めて高い安定化と、外部への結合によるダブレットや分岐などの超構造体の形成を達成した。同成果により、微小管からなる分子ロボットなどのナノ材料としての応用や、繊毛・鞭毛の形成原理の解明につながると期待される。
本成果は9月8日付の米国科学振興協会学術誌「Science Advances」に掲載された。

ニュースリリース
https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/220908_pr.pdf