2022年09月16日
京大、熱、炎症などに関与するGタンパク質可視化
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:京都大学

 京都大学 分子細胞情報学の岩田想 教授らの研究チームは16日、関西医科大学、大阪大学などと共同で、クライオ電子顕微鏡解析によってGタンパク質(Gi)結合状態の活性型プロスタグランジン受容体EP3の立体構造を決定したと発表した。
 
 構造情報をもとにして、Gタンパク質と受容体が相互作用するアミノ酸について変異体を作製し、薬理学的解析によってシグナル伝達に重要なアミノ酸残基を明らかにした。さらに、これまで決定されている他のプロスタグランジン受容体サブタイプ(EP2、EP4)とGタンパク質(Gs)の複合体構造と比較し、Gタンパク質と相互作用するがアミノ酸の種類が異なる部位に着目し、同様に変異体実験を行った。その結果、Gタンパク質の種類によってシグナル伝達活性には特定のアミノ酸が必須であることを明らかにした。

 薬剤ターゲットとして知られるGタンパク質共役受容体(GPCR)は、さまざまなGタンパク質を活性化させてシグナルを伝達するが、その選択性の詳細が近年のクライオ電子顕微鏡単粒子解析によるシグナル伝達複合体の解明によって少しずつ報告されてきた。だが、さまざまなGPCRのGタンパク質選択性の共通原理や、全貌は明らかでなかった。GPCRのGタンパク質の選択性の分子機構が解明されれば薬剤開発に有力な情報となる。
同研究成果は科学誌「Cell Reports」(22年9月13日付)に掲載された。
 
ニュースリリース
https://www.kyoto-u.ac.jp/sites/default/files/2022-09/220914_sugita-6636c271477d1f3ed9747b1543ece1f2.pdf