2022年09月21日
北大、70年代の硫酸エアロゾル粒径復元に成功
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:北海道大学

 北海道大学低温科学研究所の飯塚芳徳准教授らの研究グループは20日、グリーンランドのアイスコアに保存されている硫酸エアロゾルの粒径分布の復元にはじめて成功したと発表した。また、人為的な硫黄酸化物の排出最盛期である1970年代の硫酸エアロゾルは主に0.4μmより小さいことを解明した。

 硫酸エアロゾルの組成や粒径分布は、地球の放射収支を考える上で重要な要素。だが、過去の硫酸エアロゾルの組成や粒径分布については、信頼できる情報がなく、過去のエアロゾルの組成と輸送をモデル化することに不確実性が大きいのが現状。
 
 今回、研究グループは、グリーンランドのアイスコアに保存されている硫酸エアロゾルの粒径分布の復元に成功し、1970年代に北極で小さな硫酸塩粒子が増加したことを示す最初の観測的証拠を提示した。これは、地球温暖化のメカニズムの理解向上と将来予測の精度を高めることにつながると期待される。
 同研究成果は8月25日付「Journal of Geophysical Research, Atmospheres」誌に掲載された。

<用語の解説>
◆アイスコア : 極地氷床などで鉛直方向にくり貫かれる円柱状の氷試料のこと。
◆エアロゾル : 気体中に浮遊する微小な液体または固体の粒子と周囲の気体の混合体。

ニュースリリース参照
https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/220920_pr.pdf