2022年09月28日 |
北大、北極域の絶滅危惧種「イッカク」行動データ化 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:北海道大学 |
北海道大学 北極域研究センターのエヴゲニ ポドリスキ准教授らは26日、電子タグを装着したイッカクの行動を長期間にわたってモニタリングし、そのデータをカオス理論の数理技術を使って分析した結果、潜水や海面での休息など、昼間の行動パターンが初めて明らかになったと発表した。 イッカクは北極の海に生息する鯨類だが、その変則的な行動を分析する方法は、センサーなどを使っても難しく、生息の実態はまだ不明な点が多い。長期モニタリングのデータに基づいた研究例もごくわずかしかない。 ポドリスキ准教授は、グリーンランド天然資源研究所と共同で、極めて複雑なイッカクの行動パターンを解明する手法を確立した。この手法で83日間にわたるモニタリングを行い、得られたデータを解析した結果、特徴的な潜水スタイルや、昼間に海面近くで休息する行動が見られた。当初、これらは変則的な行動と考えられたが、詳細なデータ分析から、通常のパターンであることが判明した。 北極域の生き物は、温暖化や海氷減少など、厳しい環境変化の影響を強く受けてきた。イッカクも例外ではなく、準絶滅危惧種に指定されている。今回の研究は、イッカクを含む、北極圏に生息する動物の保護をめぐる課題を浮き彫りにし、今後の対策の一助になると期待される。 同研究の成果は9月22日公開の「PLOS Computational Biology」誌にオンライン掲載された。 ニュースリリース https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/220926_pr.pdf |