2022年09月30日
東工大、タンパク質の翻訳後修飾を単分子検出
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:東京工業大学

 東京工業大学 理学院の西野智昭准教授らの研究チームは29日、簡便な電気計測によってタンパク質1分子のリン酸化を検出できる手法を開発したと発表した。

 生体分子の単分子検出は、生体試料の分析の高速化および低コスト化につながるため、新たな医療診断技術の開発にとって重要となる。例えば DNA の単分子検出法が開発されたことによって個別化医療が実現しつつある。
 一方、タンパク質の単分子検出法の開発は DNA に比べて進まなかった。
 
 また、タンパク質の機能調節を担う翻訳後修飾に対する単分子検出は、生命現象の詳細な理解と疾病発症機構の解明のために、その開発が強く望まれていた。

 そこで今回、代表的な翻訳後修飾である「リン酸化の単分子検出法」を開発した。検出は、1 nm 以下の間隙を隔てて対向した電極対を用いた電流計測に基づいており、簡便で迅速な測定が可能だ。リン酸化は、がんの増殖や抗がん剤の感受性に深く関与していることから、今回開発した手法を利用してリン酸化を検出し解析することによって、それぞれのがん患者個人に合わせた最適ながん治療の実現が期待される。
 本研究成果は、9月145日付の「Journal of the American Chemical Society」にオンライン掲載され、Supplementary Cover に選出された。

<用語の解説>
◆翻訳後修飾 :タンパク質が細胞内で合成された後、そのタンパク質を構成するアミノ酸残基に官能基が付加、またはアミノ酸どうしのペプチド結合の一部が切断されること。これらによって細胞内におけるタンパク質の機能が調節される。

ニュースリリース参照
https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/220929_pr.pdf