2022年10月12日
広島大と東農大、バイオセーフティ向上に成功
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:広島大学

 広島大学大学院 統合生命科学研究科の廣田隆一准教授と東京農業大学バイオサイエンス学科の渡辺智准教授らの研究グループは12日、遺伝子組換え微生物の増殖を制限し、亜リン酸に厳密に依存させるバイオセーフティ技術の安全性をさらに高めることに成功したと発表した。

 研究グループは、遺伝子組換え微生物を安全に利用するためのバイオセーフティ技術として、亜リン酸依存性による生物学的封じ込め技術をこれまでに開発してきた。この技術は、天然にはほとんど存在しない「亜リン酸」に、遺伝子組換え微生物の増殖を依存させるもので、高い安全性と実用性を兼ね備えている。

 今回の研究で、亜リン酸依存性による封じ込め技術の潜在的な弱点が、亜リン酸を取り込む輸送体タンパク質の特定のアミノ酸に存在することを明らかにした。

 この輸送体タンパク質の詳細な解析を行い、変異に対する抵抗性を高めるアミノ酸に置換することで、弱点を克服することに成功した。この発見は、亜リン酸を利用したバイオセーフティ技術の安全性レベルをさらに高めるとともに、亜リン酸輸送体の輸送メカニズムに関する新たな知見をもたらした。

同研究成果は10月7日に米国科学誌「ACS Synthetic Biology」オンライン速報版で公開された。