2022年10月14日
慶応大など、クモ糸の構造と物性情報をデータベース化
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 理化学研究所 環境資源科学研究センターの沼田圭司チームリーダー、慶應義塾大学 先端生命科学研究所の荒川和晴教授らの共同研究グループは13日、世界中に生息する 1,000 種を超えるクモからクモ糸を採取し、クモ糸タンパク質の構造と物性について網羅的な情報をデータベース化したと発表した。

 天然クモ糸の情報から合理的に設計された、さまざまな材料物性を示す人工クモ糸材料の創出に貢献すると期待できる。また、作成したデータベースは「Spider Silkome Database」として公開する。

今回、国際共同研究グループは、世界中のさまざまな地域で採集されたクモを系統的に分類し、クモの細胞から抽出した RNA の解析からクモ糸タンパク質のアミノ酸配列情報を収集した。

また、それぞれのクモから牽引糸を採取し、クモ糸の引張強度や伸び率、タフネス(靭性)など 12 種類の物性を測定し、アミノ酸配列などの構造に関する情報とひも付けたデータベースを作成した。さらに、クモ糸タンパク質の構造と物性の相関を基に、タフネスに寄与するアミノ酸モチーフを同定することに成功した。
本研究は、米国のオンライン科学雑誌「 Science Advances 」(10月12日付)に掲載された。

<用語の解説>
◆アミノ酸モチーフ : タンパク質を構成しているアミノ酸の配列の中で、構造の形成や材料物性に影響を与
えている特徴的な短い配列のこと。