2022年11月02日
京大「がん代謝」逆用し神経芽腫の治療法創出
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:京都大学

 京都大学 医学研究科の滝田順子教授らの研究グループは2日、神経芽腫のがん細胞のDNAメチル化解析により、既存の治療の効果が期待しづらい超予後不良群を抽出できる可能性を見いだしたと発表した。
 
 この超予後不良群の特徴をさらにRNAシークエンスとの統合解析によって調べ、がん細胞に特徴的な栄養の利用様式により生存と増殖を有利にする方法である「がん代謝」の性質に着目することで、これを逆用する新規治療の可能性を細胞実験と動物実験によって示した。

 神経芽腫は、小児で脳腫瘍に次に多い固形のがんで、治癒率が低く、治療の副作用が強いことから、新たな治療戦略が求められている。

 本研究は、抗がん剤の効果が期待しづらい患者を対象に、がん細胞の特性を逆用し従来とは異なるアプローチによる治療を行うことで、神経芽腫の治癒率の向上と副作用の低減を実現する可能性を示すものとなる。
 今後は患者の長期生存率や生活の質を向上させるため、臨床応用に向けた研究をさらに進める。
本研究成果は22年11月1日に、国際学術誌「Oncogene」にオンライン掲載された。

◆神経芽腫とは : 交感神経のもとになる細胞から発生する小児がんの一種。腎臓の上に位置する副腎や、背骨のそばにある交感神経節にできやすい。

(発表の詳細)
https://www.kyoto-u.ac.jp/sites/default/files/2022-11/221102_takita-c5641e6432a95004b50dff4c1fe6cc65.pdf