2022年12月02日
北大、温暖化の北極海から大陸に向かう水蒸気量が増加
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:北海道大学

 北海道大学大学院 地球環境科学研究院の佐藤友徳准教授と三重大学、名古屋大学の研究グループはこのほど、海氷面積の縮小や海水温の上昇など、近年温暖化が進行する北極海周辺の大気中の水蒸気の流れを解析し、北極海で蒸発した水蒸気がユーラシア大陸や北米大陸に向かって近年多く輸送されていることを解明したと発表した。

 北極域では地球全体に比べて早いペースでの温暖化が進行しており、この傾向は今後も続くと予測されている。こうした北極の温暖化は様々な環境変化を誘発することが懸念されるが、研究グループはこのほど、特定の地域から蒸発した水蒸気の大気中における動きを追跡できる数値計算手法を用いて、北極海で蒸発した水蒸気の輸送経路や輸送量を明らかにした。

 1981年~2019年までの期間について解析したところ、北極海を起源とする水蒸気の輸送が9月から12月にシベリア地域で増加していることが分かった。
 
 このことはシベリアにおける地域的な積雪増加傾向とも整合的であり、北極海の海氷減少や水温上昇が、ユーラシア大陸や北米大陸の水循環や生態系にも影響を与えることを示唆する結果といえる。
なお、本研究成果は11月24日公開の「npj Climate and Atmospheric Science」誌に掲載された。

(発表の詳細)
https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/221125_pr.pdf