2022年12月05日
産総研、コーヒー中のカフェ酸、半導体デバイス性能向上
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:産業技術総合研究所

 産業技術総合研究所(産総研)ナノ材料研究部門の赤池 幸紀主任研究員(接着界面グループ)と、筑波大学の山田 洋一准教授(数理物質系)らの研究グループは3日、植物が作り出すカフェ酸の薄膜層を有機半導体デバイスの電極表面に形成することで、電極から有機半導体への電荷の注入効率が向上し、デバイスに流れる電流を大きくできることを発見したと発表した。

 カフェ酸はコーヒーに含まれる成分で、研究グループは分子構造の特徴から金属製の電極に吸着し、電極表面の電位を変え、電流を流しやすくする性質があると考えた。
 
 実際に電極表面にカフェ酸の薄膜層を形成すると、電極表面でカフェ酸分子が自発的に向きをそろえて並び、有機半導体デバイス(単層)に流れる電流が、カフェ酸がない場合と比べて最大で100倍に増加した。
 
 カフェ酸が特異な配向を示すことで、有機半導体への電荷の注入が促進したと考えられる。植物から得ることのできるカフェ酸が従来材料と同じように電極の性能を向上できるという発見は、バイオマス由来の材料を用いた有機半導体デバイスの構築を実現する一歩となる。
 同研究の詳細は12月2日にドイツ誌「Advanced Materials Interfaces」に掲載された。
 同研究はNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の支援を得て行った。

<用語の解説>
◆永久双極子 :分子の中の電荷密度が偏っているために、電界をかけない状態でプラスとマイナスの極を持ったもの。

ニュースリリース参照
https://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2022/pr20221203/pr20221203.html