2022年12月14日
熊本大、熱産生とエネルギー消費抑える機構を発見
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:熊本大学

 熊本大学大学院 生命科学研究部の山縣和也教授らの研究グループは、老化や様々な代謝調節に重要なサーチュインのひとつであるSIRT7が、褐色脂肪組織 ( BAT )による熱産生と全身のエネルギー消費を抑える重要な因子であることを発見し、熱産生に重要なタンパク質の働きを抑える新しいメカニズムの解明に成功したと発表した。

 BATは、主にUCP1(分子)を介して熱を産生する脂肪組織。寒冷刺激や食事摂取によるエネルギー消費の亢進に重要であり、その機能低下は肥満の一因になる。さらに、BATがホルモンなどを分泌して、全身のエネルギー代謝などを調節することが明らかになりつつある。したがって、BATの活性化はメタボリック症候群などの予防・治療法開発の標的として注目されている。だが、BATの機能にブレーキをかける分子メカニズムについては不明な点が多かった。

 今回、研究グループは、BATのSIRT7が無いマウスでは体温と全身のエネルギー消費量が高くなることを見出した。さらに、 UCP1のタンパク質量を抑えるRNA結合因子IMP2の活性化にはSIRT7が重要であり、SIRT7が無いとIMP2の働きが弱まることでUCP1量が増え、熱産生が増加するという新たなメカニズムを解明した。
同研究の成果は、英国の科学誌「Nature Communications」(12月12日付)オンライン版に掲載された。