2022年12月16日
東北大、投手が使用する「すべり止め剤」の効果実証
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 東北大学大学院 工学研究科の山口健教授らの研究グループは15日、投手が使用するすべり止め剤の効果を初めて定量的に実証したと発表した。
 
 MLB(米大リーグ)公式球はすべりやすいとされ、グリップ性やボール回転数を上げるために粘着物質が不正に使用されて問題となったことがある。だが、ボールのすべりやすさや、ロジンや粘着物質などのすべり止め剤利用の影響について、摩擦係数に基づいた議論は行われていない。

 東北大学の研究グループは今回、MLB公式球の皮革部分と指先間の摩擦係数に及ぼす、すべり止め剤の効果を初めて明らかにした。また、使用が認められているロジン粉末と使用が禁止されている粘着物質の摩擦係数についても定量的に明らかにした。

 さらにMLB公式球と日本の野球機構であるNPBの公式球との比較を行い、MLB公式球は日本の公式球に比べて摩擦係数が20%程度低く、よりすべりやすいことも初めて実証した。
 
 今回の研究は、これまで感覚的に行われてきたボールのすべりやすさの評価に定量性を与えたことになり、今後すべりにくいボールの導入や新しいすべり止め方法の開発につながると期待される。

 同研究成果は、学術出版の大手シュプリンガーネイチャーの「Communications Materials」(オンライン版)に2022年12月15日に掲載された。