2022年12月20日
北大など「小惑星リュウグウは彗星の近くで誕生」
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:北海道大学

 北海道大学大学院 理学研究院の川﨑教行准教授および、京都大学白眉センターの松本徹特定助教らの研究チームは19日、宇宙航空研究開発機構の小惑星探査機「はやぶさ 2」が C 型小惑星「リュウグウ」から採取したサンプル中に、初期太陽系の高温環境で形成した鉱物を多数発見したと発表した。

 これまでの「はやぶさ 2」初期分析により、「リュウグウ」はイヴナ型炭素質隕石に類似した物質であり、主に低温(約 40℃)の水溶液からの析出物で構成されることが分かっていた。研究チームは、「リュウグウ」及びイヴナ型炭素質隕石から、高温環境(1000℃以上)で形成した鉱物を新たに多数見つけ出し、そのうち 40 粒子について、北海道大学の同位体顕微鏡(二次イオン質量分析計)を用いた分析を行い、その起源を特定した。

 その結果、「リュウグウ」及びイヴナ型炭素質隕石の高温鉱物は、起源の異なる2 種にはっきりと分けられた。それら高温鉱物は、内側太陽系の高温環境で形成した後、外側太陽系まで輸送され、「リュウグウ」及びイヴナ型炭素質隕石の母天体に集積したことが分かった。

 また、2 種の高温鉱物の存在比率は、通常の炭素質隕石とは大きく異なっていただけでなく、米国NASA が 2004 年にスターダストミッションでヴィルド第 2 彗星から採取したサンプルと非常に似通っていた。
 
 このことから、「リュウグウ」及びイヴナ型炭素質隕石は、通常の炭素質隕石の母天体よりも太陽から遠い、彗星により近い領域で形成したことが分かった。
同研究成果は、2022 年12月16 日、「Science Advances 」誌にオンライン掲載された。

ニュースリリース参照
https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/221219_pr.pdf