2022年12月27日
東北大「垂直な建物が傾いて見える謎」解明
【カテゴリー】:行政/団体
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 東北大学 電気通信研究所の曾 加蕙(Chia-huei TSENG )准教授らの国際研究チームは26日、「垂直な建物が傾いて見える錯視」が起きる仕組みの一部を解明したと発表した。この中で錯視は、視覚情報よりも身体の前後の傾きと直線移動の組み合わせが大きく関与していることを明らかにした。

 実験は、錯視が強く生じる香港のビクトリアピークのケーブルカーで実施した。この研究成果は現実空間での垂直の知覚を歪める技術につながり、エンタテインメントや情報通信技術への応用が期待できる。

 縦方向の真っ直ぐ、つまり「垂直」をほぼ間違いなく知覚できる能力は、自分の姿勢を正しく保つ場合など、人類がこの環境で生きていく上で極めて重要な意味を持つ。しかし、この能力が正しく機能せずに錯視が生じる場合がある。

 曾加蕙准教授と東北学院大学人間科学科の櫻井研三教授らの国際研究チームは、実験室での再現が難しいこの錯視の仕組みを探るため、垂直のビルが傾いて見える錯視で知られる香港のビクトリアピークのケーブルカー「ピークトラム」で垂直に感じる向きを調べる実験を行った。
 
 その結果、身体の前後の傾きと直線移動が同時に組み合わされた場合に垂直に感じる向きが歪み、この錯視が生じることを明らかにした。
 論文は2022年12月21日、オランダの国際学術出版社の専門誌「Multisensory Research」に掲載された。

(発表の詳細)
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press20221226_02web_body.pdf