2023年01月11日
東北大、セルロースナノファイバーで半導体特性 発見
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 セルロースナノファイバー(CNF)の原料である製紙用パルプは、カーボンニュートラル素材の地球再生のエース材料として期待されているが、現時点での応用は機械的・化学的分野に限定されている。

 東北大学 未来科学技術共同研究センターの福原幹夫リサーチフェロー、同大学大学院の橋田俊之教授らの研究グループは共同で10日、CNF組織を制御したナノサイズのシート材に半導体特性が発現することを見出したと発表した。

 CNF組織を制御したナノサイズのシート材のI(電流)-V(電圧)特性は、負電圧領域に顕著な現象を示すn型半導体特性を示した。また直流通電時の並列回路(低伝導帯)から交流通電時の並列回路(高伝導帯)に変化する特性も示した。

 こうした特徴から、高価な高純度シリコン(Si)素材やレアメタルを用いた化合物半導体と異なり、低廉で無害のバイオ素材による半導体作製の可能性も出てきた。また日本に豊富に存在する森林資源を活用することで、植物由来の半導体によるペーパーエレクトロニクスの実用化が期待される。
同研究成果は、22年12月20日付の「Scientific Reports 」誌にオンライン掲載された。

(用語の解説)
◆ n型半導体 :負の電荷を持つ自由電子がキャリアとして移動することで電流が生じる半導体のこと。例えば、4価のSiに微量の5価元素のPやAsを添加すると一つ余剰の電子が生じ色々な特性が発現する。
◆ペーパーエレクトロニクス :主成分のセルロースが大量に含まれた紙本来の特性を利用したエレクトロニクス。

ニュースリリース
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press20230110_01web_si.pdf