2023年01月23日
東北大、含窒素芳香族複素環を細胞内で構築 成功
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:東北大学

 特定の化学反応を任意の場所とタイミングで引き起こす手法が注目されている。こうした方法論の一つに、光で誘起される化学反応の利用があげられるが、生体応用可能な光反応は限られている。
 
 東北大学 多元物質科学研究所の永次史教授らは20日、分子骨格を構築できる新たな光化学反応として、o-ニトロベンジル基を持つビアリールオキシム化合物を用いた分子内環化反応の開発に成功したと発表した。

 o-ニトロベンジル基を持つビアリールオキシムに光照射することで、含窒素芳香族複素環の一種であるフェナントリジン骨格を形成できる反応を発見した。

 反応前後で分子に大きな構造変化を誘起することから、薬理活性のOFF-ONが可能であると同時に、細胞内でも進行することから光反応による薬理活性の制御を可能にすると考えられる。
 
 本研究の成果は、分子を光構築することでその機能を時空間制御できる新たなタイプの光化学ツールとして、創薬やバイオテクノロジー研究への応用が期待される。

 本研究成果はアメリカ化学会の学術誌「Organic Letters」オンライン版(2023年1月11日付)に掲載された。「Supplementary Cover Art」にも選出された。

◆含窒素芳香族複素環 :窒素原子を含む環状不飽和化合物。さまざまな生物活性を持ち、医薬品にも多く見られる構造。

ニュースリリース参照
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2023/01/press20230120-01-reaction.html