2023年01月31日
東レ、オールカーボンCO2分離膜 高耐久性検証
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:東レ

 東レは31日、天然ガス精製プロセスで、高CO2分圧下や不純物存在下といった過酷な環境におけるオールカーボンCO2分離膜の高い耐久性を検証したと発表した。同分離膜を天然ガス製造に適用することで、高効率なCO2分離による運転コストの大幅削減が可能となり、天然ガス製造におけるCO2削減に貢献する。今後、実用化に向けた試作や実証試験を加速していく方針だ。

 一般的なCO2分離技術として用いられるアミン吸収法は、CO2濃度が高いほどエネルギー消費量が大きくなるため、エネルギー消費が少ない膜分離法が着目されている。だが、膜分離法に用いられるこれまでの高分子膜は、高CO2分圧下や不純物存在下では、膜の目詰まりによって細孔形状を維持できず、性能が低下してしまうため、大規模な前処理装置が必要となり、運転コストが高くなる課題があった。

 東レは、2021年に創出したオールカーボンCO2分離膜に対して独自の精密構造制御技術を用い、カーボンの焼成条件を最適化することで、過酷な環境にあっても細孔形状を維持して高いCO2分離性能を発揮するオールカーボンCO2分離膜を創出した。

 従来の高分子膜で必要だった、不純物による可塑化や強度低下を防止するための前処理装置を大幅に簡素化し、運転コストの大幅削減が可能となる。現在、同分離膜を用いた膜モジュールを試作中で、2023年度中に試作サンプルを提供して実ガス実証していく計画だ。