2023年03月07日
北大、血管新生阻害剤の投与と効果で新提案
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:北海道大学

 北海道大学歯学研究院の樋田京子教授らの研究グループは6日、血管新生阻害剤の先行投与が、併用される抗癌剤や免疫チェックポイント阻害剤(ICI)の抗腫瘍効果を増強する可能性があると発表した。

 肺癌は最も予後不良の癌の一つで、治療には殺細胞性抗癌剤と血管新生阻害剤やICIが併用される。血管新生阻害剤は、未熟で漏れやすく機能が障害された腫瘍血管を正常化し、腫瘍組織への薬剤や免疫細胞の送達を改善する。ICIは腫瘍組織内に浸潤する免疫細胞の活性を維持する効果がある。だが、治療効果は十分とはいえない。

 研究グループは、血管新生阻害剤による腫瘍血管の正常化には投与後数日かかることから、同剤を先行投与し、血管が正常化されてからICIを投与する方がより大きな治療効果が得られるのではないかと考えた。
 
 まず、マウス肺癌モデルを用いて血管新生阻害剤を投与し、血管の正常化に伴う腫瘍組織低酸素と免疫細胞浸潤の改善には3日間かかることを見出した。そこで血管新生阻害剤投与3日後に抗癌剤パクリタキセルとICIを投与したところ、同時投与よりも抗腫瘍効果が大きくなることが分かった。本研究により、血管正常化後に免疫チェックポイント阻害剤や抗癌剤による治療を行うことがより効果的であることが示唆された。
本研究結果は2月19日、「Cancer Medicine」誌にオンライン公開された。

(詳細)
https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/230306_pr.pdf