2023年03月23日
東大・調査、日本発「うま味」に22%の減塩効果
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:東京大学

 東京大学大学院 医学系研究科の野村周平特任助教(国際保健政策学)らの研究グループは、日本発の「うま味」は、成人1日あたり食塩摂取量に対して、22.3%もの減塩インパクトが期待できると発表した。研究グループは今回、日本人成人 2742 人から得られた 8 日間にわたる詳細な食事記録データをもとに調べた。

 ナトリウム(食塩相当量)の摂りすぎは、多くの慢性疾患の蔓延と大きく関わる。2019 年には世界で約 190 万人の死亡が高ナトリウム摂取を原因としており、その人数は 30年間で40%も増加すると観測されている。2013年に世界保健機関(WHO)は 2025 年までに食塩摂取量を30%削減することで合意したが、2022 年時点で達成した国は一カ国もない。

 日本人は一般的に他国と比べて食塩を多く摂取しているとされる。政府は、「健康日本 21」と呼ばれる 10 年間の国民健康づくり運動(第二次)で、2023 年までに日本人の食塩摂取量の一日当たり平均値を 8g に減らすことを目指すとしたが、2019 年の最新のデータによると、平均摂取量は 10g を超えており、この目標値を上回っている。現在の傾向が続く限り、目標達成はむずかしそうだ。

 これに対して、グルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸に代表される「うま味」成分を塩分代替物として利用することが、健康的で自然な食塩削減方法として提案されている。日本料理では、「うま味」は一般的であり、古典的な4つの味(塩味、甘味、苦味、酸味)に加えて、日本の科学者が1908年に発見した第5の味として、世界的には「UMAMI」として知られている。 本研究成果は、世界に蔓延する様々な慢性疾患に対応する方法として、日本発の「うま味」の可能性を示す新たなデータを提供するものとなる。
 本研究成果は2023年3月20日付の「BMC Public Health」に掲載された。

(参考)
https://www.m.u-tokyo.ac.jp/news/PR/2023/release_20230310.pdf