2023年04月11日
北大、北極海生物の気候変動応答の違いを解明
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:北海道大学

 北海道大学北極域研究センターの深町康教授らの研究グループはこのほど、北極海の海洋生物について、気候変動に対する多様性の実態解明に成功したと発表した。
 
 研究グループは2000年から2019年にかけて26種の海洋生態系における上位捕食者群と、43種の中間捕食者群の分布パターン・種構成・潜在的な種間関係に関する資料を分析した。それにより、近年の北極圏における生物多様性と群集の変化が、広範囲に生息する上位捕食者群による生息域の極域への拡大によって特徴づけられることを明らかにした。

 さらに研究チームらは、北極海を八つの海域に分けて夏季の海氷の影響を解析し、生物多様性への影響は海域によって対照的であり、また、海氷の変化に特に脆弱な海域を同定することに成功した。
 
 特に、夏季に海氷が少ない海域では、北極海の入り口海域で種数は増加傾向を示し、出口で減少の傾向を示していた。この発見は、北極海で悪化する気候変動の下、生物多様性の保全と生物資源管理を強化する必要があることを示している。同研究成果は「Scientific Reports」誌(23年3月11日付)に掲載された。

(発表の詳細)
https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/230411_pr.pdf