2023年04月13日
北大・解明「口腔バリア形成にセラミドが重要」
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:北海道大学

 北海道大学薬学研究院の佐々貴之准教授らの研究グループは13日、セラミドが口腔バリア形成に重要であることを明らかにした。

 口腔粘膜には、外からの病原体、アレルゲン、化学物質の侵入や口腔内の乾燥を防ぐ透過性バリア(口腔バリア)が存在しており、口腔バリアの異常は歯周病などの口腔感染症、食物アレルギー、ドライマウスといった疾患の発症あるいはリスク増大に繋がる。だが、口腔バリアを形成する脂質分子についてはよく理解されていなかった。

 研究グループは、皮膚バリアに重要な脂質であるセラミドに着目し、マウスとヒトの口腔粘膜のセラミドの組成を詳細に調べた。その結果、口腔粘膜には長い炭素鎖長をもつ特殊なセラミドが皮膚と同様に存在することを見出した。
 
 さらに研究グループは、口腔粘膜においてアシルセラミドと結合型セラミドの量が大きく減少したマウスを作製して解析し、このマウスでは口腔バリア機能が低下していることを明らかにした。
 
 本研究成果は口腔バリアの形成にセラミドが重要であり、今後は両者の関係解明や口腔疾患の治療薬の開発につながると期待される。研究成果は4月13日付「Cell Reports」誌に掲載された。

<用語の解説>
◆皮膚バリア … 皮膚に存在する物質の透過を防ぐバリア。病原体、アレルゲン、有害物質の侵入を阻止し内部からの水分の蒸発も防ぐ。
◆角化 … 表皮や口腔粘膜の細胞が細胞死にともなって核やミトコンドリアなどの細胞小器官を消失し、角質層を形成すること

ニュースリリース
https://www.hokudai.ac.jp/news/2023/04/post-1212.html