2023年04月20日
「メラニン生合成には亜鉛も重要な役割」京大など
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:京都大学

 メラニンは紫外線から肌を守る重要な物質だが、一方で過剰なメラニンはシミの原因となるため、メラニン生成を抑制する成分が化粧品に使用されている。メラニンの生合成にはチロシナーゼと呼ばれる酵素群が機能することが知られており、チロシナーゼの活性化には銅が重要であることも知られていた。

 京都大学の神戸大朋・生命科学研究科准教授をはじめ岡山理科大学、名古屋大学などの研究チームは19日、メダカと培養細胞を用いて、メラニン生合成には銅だけでなく亜鉛が重要な役割を果たすことを世界で初めて明らかにしたと発表した。
 
 メラニンは、皮膚や毛髪、目の虹彩の色を決める主要な色素。体内では、黒色を呈するユーメラニンと、赤橙色を呈するフェオメラニンの2種類が合成され、これらの含有量と比率によって皮膚や毛髪の色調が決定されている。メラニンは紫外線などから身を守るためにも重要な役割を果たしている。

 今回の研究は、70年以上前から銅のみが重要であると信じられてきたメラニンの生合成に、他の金属も必要であることを明確に示した成果となる。
 本研究成果は、2023年4月18日に、国際学術誌「Communications Biology」にオンライン掲載された。