2023年04月21日
北大、日本列島最古のニワトリの雛の骨発見
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:北海道大学

 北海道大学総合博物館の江田真毅教授らの研究グループは20日、国指定史跡である唐古・鍵遺跡(奈良県田原本町)で見つかった骨の中から、日本列島最古のニワトリの雛の骨を発見したと発表した。

 ニワトリは本来、東南アジアに生息するセキショクヤケイで、日本列島には弥生時代に導入されたと考えられているが、その詳細な年代は不明だった。また、弥生時代のニワトリはその形態からほとんどが雄であり、日本列島では繁殖できなかった可能性が考えられてきた。唐古・鍵遺跡では、弥生時代中期初頭と推定される溝からキジ科(ニワトリやキジ、ヤマドリなど)の雛の骨が4点見つかったが、ニワトリかどうかは特定でなかった。

 研究グループは、唐古・鍵遺跡で見つかったキジ科の雛の骨2点を対象に、コラーゲンタンパクの質量分析による骨の種同定(=由来生物の特定)を実施した。また、そのうち1点について放射性炭素年代測定による実年代の特定を行った。その結果、2点のキジ科の雛の骨はいずれもニワトリのものであることが分かった。
 
 また雛の骨は紀元前3世紀~4世紀のものであることが確認された。これらの結果から、少なくとも唐古・鍵遺跡ではこのころからニワトリが継代飼育されていたと推定された。唐古・鍵遺跡は日本列島の弥生文化における最大規模の集落遺跡であることから、今回の結果は日本列島の弥生文化の集落でニワトリが広く継代飼育されていたとみなせるものではない。
 
 今後、本研究で有効性が確認されたコラーゲンタンパクの質量分析を用いたキジ科の骨の同定が進められることで、弥生文化におけるニワトリ飼育の様相がより詳細になると期待される。
 なお、本研究成果は2023年4月20日付「Frontiers in Earth Science」誌にオンライン掲載された。
 
ニュースリリース
https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/230420_pr.pdf