2023年04月25日
九大、横紋筋特異的なリボソーム発見
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:九州大学

 九州大学生体防御医学研究所の中山敬一主幹教授らの研究グループは24日、横紋筋特異的に存在するリボソームを発見し、心機能に必要なタンパク質の翻訳を制御していることを見出したと発表した。

 リボソームサブユニットRPL3の類似遺伝子であるRPL3Lは、心臓と骨格筋に特異的に発現していた。そこでRPL3Lを含む横紋筋特異的リボソームの生理的役割を解明するためにRPL3Lノックアウトマウスを作製したころ、このマウスでは心臓の収縮力が低下していることがわかった。
 
 RPL3Lが欠損した心臓は翻訳伸長ダイナミクスが乱れており、リボソームの衝突頻度が増加していることが明らかになった。これにより心筋収縮に関与するタンパク質の発現量が減少し、心臓の収縮力の低下が生じたと考えられる。

 近年、ヒトの心房細動や小児期の拡張型心筋症患者などでRPL3Lの遺伝子変異が報告されていることから、この組織特異的な翻訳制御機構の理解はこれら疾患の治療に繋がることが期待される。
 同研究成果は4月20日付の「Nature Communications」に掲載された。
 
<用語の解説>
◆ mRNA :messenger RNA の略で、タンパク質を合成するための塩基配列情報を持った RNA をいう。その遺伝情報は特定のアミノ酸に対応するコドンと呼ばれる 3 塩基配列という形になっていて、リボソームが mRNA の情報からタンパク質を合成する反応を翻訳と呼ぶ。

ニュースリリース
https://www.kyushu-u.ac.jp/f/52490/23_0421_03.pdf