2023年05月17日
旭化成と九大、マイクロプラの年齢推定法を開発
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:旭化成

 旭化成と九州大学ははこのほど、マイクロプラスチックの年齢(屋外で紫外線を浴びた経過時間)を推定する手法を開発したと発表した。旭化成 基盤技術研究所と九州大学応用力学研究所 磯辺篤彦教授のグループは2019年から、海洋のマイクロプラスチックが生成されるメカニズムに関する共同研究を行ってきた。
 
 これによると、海面近くのマイクロプラスチックは1~3年程度で海底に沈降していくことが示唆された。この研究成果は国際学術雑誌の「Marine Pollution Bulletin」誌で発表された。

 海に流出したプラスチックごみは、紫外線照射などによって劣化し、次第にマイクロプラスチックと呼ばれる微細片に破砕される。その結果、いま世界の海洋表層には、約24兆粒のマイクロプラスチックが浮遊しているとみられている。だが自然界では分解しにくいプラスチックもあり、海を漂っている期間は不明だった。

 今回の研究で、マイクロプラが屋外に出てのち、紫外線を浴びた経過時間(年齢)の推定手法を新たに開発した。その結果、北西太平洋や赤道といった外洋の海面近くで採取されたマイクロプラは、年齢が1~3歳の範囲に集中していることが分かった。一方、陸近くの日本近海から採取されたものは、0~5歳と年齢にばらつきが見られた。

 研究グループは、プラスチックの特定波長帯での赤外線吸光強度比(カルボニル・インデックス)と置かれていた環境の温度、そしてプラスチックが照射された紫外線強度の時間積分値(累積量)の関係式を、現場実験と加速劣化試験を繰り返すことで見出した。そして、実際の海洋で採取したマイクロプラスチックが受けた紫外線強度の累積量を求め、海域に平均的な紫外線強度から、紫外線を浴びた経過時間(年齢)を割り出した。

 この研究によって、海には、浮遊するマイクロプラスチックを1~3年程度で海面近くから除去する働きがあることが示唆された。

ニュースリリース
https://www.kyushu-u.ac.jp/ja/researches/view/925