2023年06月05日
東北大など、インドネシア多島海の海水温変動調査
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:東北大学、九州大学

 東北大学、九州大学、ハワイ大学の共同研究チームは、太平洋とインド洋をつなぐインドネシア通過流の滞留時間と経路に、1日単位で変動する短周期の渦が与える影響について調査した結果を発表した。
 短周期の渦は、インドネシア通過流がインドネシア多島海内に滞留する時間を増加させ、冷たい中層水が表層へ湧昇するのを促進することを発見した。

 エルニーニョ現象や海洋熱波などの気候変動現象や生物多様性の保全に重要な、インドネシア多島海の海水温変動メカニズムの理解に貢献した。

 海域全体で平均した月平均値が30℃を超えることもある世界で最も海面水温が高いインドネシア多島海は、世界の海を巡る流れの重要な経路にあたっている。この多島海を太平洋からインド洋に流れる海流であるインドネシア通過流の滞留時間と経路は、エルニーニョなどの気候変動現象に影響を与える海面水温を決める要因となっている。

 共同研究チームは今回、高解像度海洋大循環モデルを用いて、短期間で変動する渦の存在が、インドネシア通過流の経路と通過時間の決定に果たす役割を調べた。その結果、特定の海域で海水が長く滞留し、中層から表層までの湧昇を促進することを明らかにした。
 海洋熱波を含む気候変動現象や生物多様性の保全にとって重要な、この海域の海水温の変動メカニズム解明に貢献する成果といえる。
 本研究成果は、地球物理学術誌「Journal of Geophysical Research - Oceans」(5月14日)で発表された。

(用語の解説) 
◆短周期の渦 :流れが蛇行したり、地形にぶつかったり、風の影響を受けたりすることことで生じる短い周期の渦のこと。