2023年06月05日
京大、バイオエタノールを電解効率100%で燃焼
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:京都大学

 京都大学 農学研究科の宋和慶盛助教らの研究グループは、Gluconobacter oxydansという酢酸菌由来のアルコール脱水素酵素(ADH)およびアルデヒド脱水素酵素(ALDH)を用いて、高出力かつ高効率な生物電気化学カスケード反応を実現したと発表した。

 ADHとALDHは、酢酸菌の呼吸鎖電子伝達系を構成する酵素で、バイオエタノールをエネルギー変換することが可能な触媒。両酵素は、電極との直接的な電子移動ができるユニークな特徴を有しており、優れた物質-エネルギー変換(低い副反応リスク・高い電解効率)を実現できる。
 
 今回、クライオ電子顕微鏡観察や単粒子像解析により、ADH、ALDHについてそれぞれ2.5 A(オングストローム)、2.7 Aの分解能で構造解析に成功した。また、最適な酵素-電極反応場をデザインし、同一反応場に両酵素を担持するコンセプトによって、エタノール/アセトアルデヒド/酢酸という2段階酸化反応を実現した。
 
 さらに、数理モデルに基づいて本カスケード反応効率を最適化し、電気エネルギーの獲得と酢酸の生産を同時に達成するバイオ燃料電池を構築した。
 
 電池は、既報の10倍以上の出力に加え、エタノールから酢酸への変換における電解効率が100 プラス・マイナス 4%という卓越した性能を示した。今回の研究成果は、生体触媒を用いた新たなバイオエタノール利用技術として、学術的かつ社会的な波及効果が期待できる。
 本研究成果は国際学術誌「ACS Catalysis」(5月30日付)にオンライン掲載された。

ニュースリリース
https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research-news/2023-06-02-0