2023年06月09日
北大、原因不明の小脳性運動失調症に抗体発見
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:北海道大学

 北海道大学大学院 医学研究院の矢口裕章准教授らの研究グループはこのほど岐阜大学、聖マリアンナ医科大学などとの共同研究によって、2014年に同准教授らが世界初発見した自己免疫性小脳失調症に関連する自己抗体の一つ、Sez6l2抗体の陽性例が、原因不明の小脳性運動失調症患者群のなかに複数例見つかったと発表した。
 
 小脳性運動失調症は全国で約4万人存在するとされ、そのうち約3万人は神経変性疾患や遺伝性疾患が原因と考えられており、残りの約1万人は原因不明とされている。この原因不明の小脳性運動失調症患者の一部に、自己免疫機序に起因する小脳性運動失調症(自己免疫性小脳失調症)が存在することが近年報告されており、免疫療法により改善する可能性があるため、適切な診断法の開発が求められている。
 
 今回の研究で、原因不明の小脳性運動失調症162例においてSez6l2抗体を測定した結果、新たに2例の陽性例を確認した。引き続き、積極的な同抗体の測定と、早期の治療介入が期待される。
なお、同研究成果は、2023年6月1日公開の「JNNP」誌にオンライン掲載された。

ニュースリリース
https://www.hokudai.ac.jp/news/2023/06/sez6l2.html