2023年06月14日
北大「冬型の気圧配置/北海道は3倍の速さで昇温」
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:北海道大学

 北海道大学大学院 地球環境科学研究院の佐藤友徳准教授らの研究グループは、機械学習を用いて過去44年分の日々の気象データを解析し、気温や大気中に含まれる水蒸気量の長期的な変化の傾向を気圧配置ごとに分けて評価することに成功したと発表した。

 これにより、北海道周辺の気温の上昇は、いわゆる西高東低の冬型の気圧配置の場合には、冬季平均の3倍以上のペースで進行していることが分かった。冬型の気圧配置の日に限定すると、北海道は冬季平均の 3 倍以上の速さで昇温していることをつかんだ。

 冬型の気圧配置では、ユーラシア大陸やオホーツク海からの寒気の流入により、日本海側の地域を中心に厳しい寒さや大雪となることがある。今回研究グループは、日本に流入する寒気の起源が気圧配置ごとに異なることに着目し、日本周辺における気温や水蒸気量の経年変化を気圧配置ごとに解析した。
 
 オホーツク海を起源とする寒気が日本に流入するような気圧配置の日に着目して調べたところ、北海道周辺の気温の上昇率は、冬季平均の上昇率に比べて3倍以上大きく、同時に大気中の水蒸気量も増加していることが分かった。水蒸気量の増加は降水量の増加につながりうることから、本成果は、大雪などの顕著現象に対する地球温暖化の影響を正確に見積もる、新たな手法の開発につながることが期待される。なお、同研究成果は、2023年6月6日付「Geophysical Research Letters」誌に掲載された。

ニュースリリース
https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/230607_pr.pdf