2023年06月19日
九大、薄膜中の希土類錯体の発光機構解明
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:九州大学

 発光性希土類金属錯体は色鮮やかな発光を示すことから、色再現度の高いディスプレイや視認性の高いセンサーなどを実現するための発光材料として期待されている。多くの実用的な発光デバイスは薄膜状であることから、その実現のためには薄膜中における希土類錯体の高効率・強発光を達成することが重要となる。しかし、このような状態での希土類錯体の発光機構が未解明であることが開発のボトルネックとなっていた。

 九州大学大学院 理学研究院の恩田健教授らの研究グループは19日、三価ユウロピウム錯体を用いた薄膜における発光過程を1兆分の1秒の時間分解能で逐次解析することによって、その機構を詳細に解明したと発表した。
 
 さらにその機構に基づき、薄膜内の光エネルギー移動効率100%、錯体単体と比較した発光強度400倍を達成することに成功した。

 今回明らかにした薄膜中における発光機構およびそれに基づいた材料設計によって、希土類錯体を用いた新たな高効率発光デバイスを戦略的に開発できるようになることが期待される。
 同成果は5月29日に英国Royal Society of Chemistryの国際学術誌「Chemical Science」にオンライン掲載された。

ニュースリリース
https://www.kyushu-u.ac.jp/f/53213/23_0619_02.pdf