2023年06月26日
UBE、日鉄など3者、PCD一段合成プロセス開発に着手
【カテゴリー】:行政/団体
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 大阪公立大学、日本製鉄、UBEの3者は26日、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)に採択された開発プロジェクト「 CO2からのポリカーボネートジオール(PCD)一段合成プロセスの開発 」研究に4月から着手したと発表した。

 2050 年のカーボンニュートラル社会の実現に向けて、化石燃料の利用に伴う CO2 の大幅削減策として、CO2 を炭素資源と捉え、有効に再利用するカーボンリサイクル技術の確立が期待されている。特に化石燃料の代替として注目されている水素は供給不足なため、水素を必要としない高付加価値の炭素化合物製品は、2030 年頃から普及・消費拡大が見込まれている。

 今回NEDOの委託事業として採択されたポリカーボネートジオール(PCD)は、水素を必要としない高付加価値の炭素化合物を製造する代表的な素材で、高機能ポリウレタンの原料となる。高機能ポリウレタンは、耐久性など多くの特性を有し、自動車シートなどの合成皮革をはじめ塗料、コーティング材などとして今後も需要増が見込まれている。
 
 ポリカーボネートジオールの合成は、2段階で行い、環境負荷が高いなどが課題だった。今回取り組む研究は、アルコールの一種であるジオールからポリカーボネートジオールを1 段階で合成する画期的なプロセス。

 大阪公立大学と日本製鉄は、すでにNEDOの「先導研究プログラム/未踏チャレンジ 2050 事業」で、小規模反応器により、CO2 とジオールからポリカーボネートジオールを効率よく合成できる触媒プロセスを開発し、基本原理を確認済みだ。
 
 今回は次のフェーズであるベンチ試験設備の設計に繋げるために、より大きな反応器でも性能を確保できるような触媒技術の開発や、プロセス開発をラボベースで行う。UBEはポリカーボネートジオールの世界トップメーカーとして、研究成果を事業化につなげるために製品の品質評価や課題抽出などさらなる役割を担う。
 
ニュースリリース
https://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1687752733.pdf