2023年06月28日
広島大、歯周病原因細菌に肝がん発症のリスク
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:広島大学

 食文化の欧米化などに伴う肥満率の増加が深刻な社会問題となっている。特に、肥満に伴う肝臓の病気の1つである非アルコール性脂肪性肝炎(non-alcoholic steatohepatitis: NASH)は、その 10ー20%が肝硬変や NASH 関連肝癌に移行するため、病態の解明が重要となっている。
 
 近年、 B 型、C 型肝炎ウイルス感染症は治療法の進歩により減少傾向にあるが、肥満を発端として生じる NASH 関連肝癌は急速に増加している。

 広島大学 医系科学研究科の宮内睦美教授らの研究チームはこのほど、歯周炎病巣から胎内に侵入した歯周病原性細菌が肝臓に到達し、肥満による脂肪肝組織に肝癌の前段階である腫瘍性肝結節の形成を促進することで、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)関連肝癌の発生に関わることを動物実験で明らかにしたと発表した。
 
 高脂肪食(High fat diet HFD)誘導 NASH 関連肝癌マウスモデルに60週感染させ、腫瘍性肝結節の形成を促進することをつかんだ。
同研究成果は6月8日、「Scientific Reports」オンライン版に掲載された。

◆歯周炎 :歯周病原性細菌の感染によって引き起こされる歯周組織の炎症性疾患。歯肉溝部に多くの細菌が停滞し、歯肉の辺縁が炎症を起こし、発赤や腫脹が現れる。進行すると歯根膜や歯槽骨が破壊され、最終的に歯が抜け落ちる。