2023年07月14日
北大など、シャコガイの巧みな生存戦略解明
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:北海道大学、日本大学

 北海道大学、日本大学、北里大学の研究グループは14日、サンゴ礁で繁栄する生物がどのような物質を作り、それをどのように利用しているのかを分析したと、その結果を発表した。

 サンゴ礁海域には多種多様な生物が生息しているが、サンゴ礁は「海の砂漠」といわれるほどリンや窒素などの栄養素が少なく、これらの生物を支える物質の流れの全容は解明されていない。この謎はチャールズ・ダーウィンが最初に提唱したことから「ダーウィンのパラドクス」とも呼ばれている。

 研究グループは今回、サンゴ礁に生息する代表的な動物の一つであるシャコガイを用い、細胞膜を構成する成分である脂質(膜脂質)の分析を行った。その結果、シャコガイは共生する褐虫藻からリンのない膜脂質であるDGCCを借りて、利用していることが明らかとなった。

 今回研究の成果は、微細藻特有の生存戦略をシャコガイも何らかの形で獲得したことを示唆しており、今後、他の貝類やサンゴにおいて同様の代謝が存在するのか、シャコガイを通じてサンゴ礁生物の進化の過程を解き明かすことが期待される。
なお、本研究成果は7月10日公開の「iScience」誌にオンライン掲載された。